- 本データは、空間統計学の分野で用いられてきた階層ベイズモデルを用いて、歩行サーベイ、走行サーベイ及び航空機モニタリングで得られた空間線量率分布を統合し、その統合結果に対し原子力規制庁事業にて開発された2成分予測モデルを使用して将来の空間線量率の予測マップを作製したデータである。
- 統合マップの作製手法は、同じ地域を対象とした同時期の測定により歩行サーベイの測定データセットzW, 走行サーベイの測定データセットzC, 航空機モニタリングの測定データセットzAが得られた時に、最も信頼のおける空間線量率分布yを統計手法により推定するものである。
- 統合マップ作製に用いた歩行サーベイの測定結果は、原子力規制庁による東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の分布データの集約事業における測定結果(平成28年10月27日~12月13日)とした。
- 統合マップ作製に用いた走行サーベイの測定結果は、原子力規制庁による東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の分布データの集約事業における測定結果(平成28年10月31日~12月16日)とした。
- 統合マップ作製に用いた航空機モニタリングの測定結果は、原子力規制庁による福島県及びその近隣県における航空機モニタリングの測定結果(平成28年11月18日時点)とした。
- 2成分予測モデルは、減衰が遅い成分と減衰が速い成分で構成され、大局的(global)検索を発見的(heuristic)な手法であるCRS(Controlled Random Search)法で、局所的(local)な検索を共役傾斜法(conjugate gradient 法)で行う2 段階で最適解を求める手法により空間線量率を導出した。
- 減衰が遅い成分の環境半減期とその変化の範囲は、先行研究の結果を踏まえ、公衆や環境影響を対象にする確率論的リスク評価(レベル3PRA)に関する日本原子力学会の値や米国原子力規制委員会の値をもとにした。
- 減衰が速い成分の環境半減期、減衰が速い成分の割合とそれらの変化の範囲は、放射性物質測定調査(文部科学省、原子力規制庁)に基づき実施されている第1次から第9次走行サーベイの空間線量率測定データと「総合モニタリング計画」(モニタリング調整会議決定)に基づき実施されている第1巡から第20巡までの走行サーベイの詳細モニタリング結果をもとにした。
- 結果の不確かさについて
- 統合マップ(歩行サーベイ、カーサーベイ、航空機モニタリング)
- 検証用に抽出した歩行サーベイが含まれるメッシュの統合結果(推定値と標準偏差)を使用して以下の式で信頼区間を計算する。
99%信頼区間=推定値+(標準偏差×(±2.576))
- 2.576は、空間線量率の測定値が正規分布に従うと仮定し、正規分布のt分布表を使っている。
- 2成分予測モデル
- 式に示される3 つのモデルパラメータである、減衰が速い成分の割合、減衰が速い成分の環境半減期、減衰が遅い成分の環境半減期の統計分布を考慮したモンテカルロ計算により、空間線量率の統計的分布を含む経時変化を調べた。その結果、実測の結果と係数2程度の範囲でよく一致した。すなわち係数2程度の不確実性がある。